目を覚ますたびに、同じ朝が待っている。僕は17時34分に必ず死ぬ運命にある。何をしても、どうしても変わらない。その後、また同じ日の朝に戻る。最初の死は車に轢かれることだった。でも、それ以外の方法でも、結局何かしらで死ぬ。道路にいなくても、世界のルールが僕を殺す。運命からは逃れられない。

でも、彼女にはそのことを言えない。毎回、彼女に恋をして、笑顔をもらって、最後にお別れを告げる。それが、僕の毎日の繰り返しだ。

「また明日ね。」その言葉が、いつも心に響く。何度でも言ってもらいたくて、僕は毎日彼女に恋をする。

ある日の放課後、教室を出ると、彼女が僕に近づいてきた。

「今日は、少し遅くまで一緒にいようか?」

その言葉を聞いた瞬間、胸が締め付けられる。いつも通り、彼女は無邪気な笑顔を浮かべている。もし、今度こそ本当に一緒にいられるのなら、僕はその時間を心から楽しみたい。でも、知っている。17時34分までの時間は、僕にとっての最後の時間になることを。どうしても、死ぬ瞬間を彼女に見せるわけにはいかない。

「今日は、やめておくよ。」僕は笑顔で答える。

「そう?」彼女は少し不思議そうな顔をしたが、すぐに微笑んだ。「わかった。また明日ね。」

彼女の微笑みが、僕の心を温かくした。どうしてこんなにも心が温かくなるのだろう?僕は毎日、同じように繰り返すだけなのに。彼女は僕の運命を知らない。だけど、僕は彼女に何度も恋をして、毎回お別れを告げる。

17時34分が迫る。僕は知っている。何をしても、あの瞬間を避けられない。だからこそ、彼女には何も伝えられない。何度でも、彼女を愛しても、絶対に彼女を巻き込んではいけない。

「また明日ね。」

その言葉を最後に、僕は死ぬ。車に轢かれ、目を閉じる。次の瞬間、目を覚ますと、また同じ日の朝が待っている。彼女の笑顔が待っている。

でも、僕は知っている。何度も何度も繰り返す日々。その度に、彼女を愛し、でも何も伝えられない。

僕は君の何日も知っているのに、君は僕の1日しか知らない。