カフェの窓から、海が見える。
空はまだ明るく、夕陽が海に反射している。

「最後だね」

彼はグラスを持ったまま、静かに言った。
私は何も言わず、ただ彼を見ていた。
ブルーハワイがグラスに注がれ、氷が音を立てる。
その色が、何だか胸に迫るようだった。

私たちは、ずっとこうしていた。
海を見ながら、何も言わずに時を過ごしていた。
それが心地よくて、二人の間に言葉がなくても、何も問題はなかった。

でも、今日は違う。
私の中で、何かが静かに崩れていくのがわかる。

「帰るんだね」

私が小さく言うと、彼は少しだけうなずいた。
それ以上、言葉は必要なかった。

グラスを持って口をつけると、ブルーハワイの甘さと酸っぱさが広がる。
少し冷たい、けれど心地よい。
その味が、まるで今の私たちのように、青くて切ない

「また、会えるよ」

彼が言うと、私は黙ってうなずいた。
その言葉も、やがてどこか遠くに消えていくような気がした。

彼は立ち上がり、何も言わずに歩き出す。
その背中が遠ざかるのを、私はただ見ているだけだった。
足元が、少しだけふらついた。

グラスの中で、ブルーハワイの色がゆっくりと溶けていく。
その青さが、彼のいない未来を予感させるようだった。

私は目を閉じ、深呼吸をする。
海の匂いと、彼と過ごした時間の味が、少しだけ残っている

でも、その青さはすぐに消えてしまうことを、私は知っていた。